網膜疾患

飛蚊症(ひぶんしょう)

飛蚊症の見え方

飛蚊症の見え方

視界の中を糸クズやゴミ、虫のようなものが浮遊しているように見える症状を飛蚊症と呼びます。飛蚊症の大半は加齢が原因で起こる、「生理的飛蚊症」ですが、網膜剥離など重い目の病気が原因となっている「病的飛蚊症」の可能性もあるため、眼科を受診し、検査を受けることが大切です。
特に見えている浮遊物の数が増加したり、大きさに変化があれば、早急に眼科を受診して下さい。
網膜に穴が空いたり(網膜裂孔)、その穴を中心に網膜が下層か剥がれて網膜剥離を起こすことがあります。
網膜裂孔の治療はレーザーを用いて、裂肛の周囲を焼き固め剥離を防止します。

飛蚊症の検査

精密眼底検査を行います。これは、散瞳剤を点眼して瞳孔を開いた状態にしておいた上で、医師が検眼鏡を用いて網膜の隅々まで観察する検査です。検査自体は数分で終わりますが、散瞳剤を点眼してから瞳孔を開くまでに20~40分間かかります。また、検査後に瞳孔が元に戻るまで4~5時間程度かかります。瞳孔が元に戻るまでは、ピントがぼやけて見え、光がいつもより眩しく感じます。そのため、検査後の自動車・バイクの運転は危険ですから控えていただきます。

加齢黄斑変性

網膜にある黄斑という部分が加齢変化して視機能が低下する病気です。網膜はカメラで言えばフィルムやCCDにあたりますが、黄斑は網膜の中でも視機能が抜群に良く、物を見るための要となっている部分です。ここに障害が起こると、じっと見つめたい中心視力の低下や中心部の視野が暗く抜ける中心暗点といった症状が現れてしまいます。

加齢黄斑変性には脈絡膜から発生する新生血管を伴う「滲出型」と細胞の組織が徐々に萎縮する「萎縮型」のに分類されます。

滲出型

加齢黄斑変性のほとんどがこのタイプです。黄斑の網膜下や網膜色素上皮下に血液成分が漏れてきて、その部分が瘢痕化します。脈絡膜からとても脆い新生血管が伸びてそこから出血することで起こります。病状の進行が早く、急激な視力低下をきたします。早期に検査と治療を行うことが重要になります。

萎縮型

網膜色素上皮や脈絡膜毛細血管板の萎縮があり、新生血管が見られないタイプです。急激な視力低下はありませんが、脆い新生血管が発生して出血する可能性があり、経過観察が重要です。

加齢黄斑変性の治療

内科的治療

止血薬、血流循環薬の内服、網膜に栄養を与えるルティン、ビタミンや亜鉛などのサプリメントを用いた治療を行います。

硝子体内注射

滲出型加齢黄斑変性症の治療として第一選択として行っております。新生血管の原因物質となるVEGF(血管内皮増殖因子)に対し抗VEGF薬を注入することで、新生血管の成長を抑制し、症状を改善します。

テノン嚢下注射

ステロイド剤を眼球外側にある結膜下(テノン嚢)に注射します。ステロイド剤は眼の炎症を抑え、新生血管の成長を抑制する効果があります。ステロイド剤の影響で眼圧が上昇することがあるため、治療後は眼圧検査が必要になります。

レーザー光凝固

新生血管をレーザーで破壊する治療法ですが、網膜にも障害を与える可能性があるため新生血管が黄斑の中心部に近い場合は行われません。レーザー光凝固には、新生血管全体凝固と栄養血管凝固があります。

その他

硝子体内注射やレーザーでの治療が難しく、光線力学療法(PDT)や硝子体手術が必要な場合には、信頼できる大学病院をご紹介いたします。

糖尿病網膜症

中途失明原因で第1位となっている糖尿病網膜症は、糖尿病の合併症の1つです。糖尿病は血管に大きなダメージを与える病気ですが、網膜はとても細かい毛細血管が集中しているので血糖の影響を受けやすく、それにより血管が詰まったり、血管が破れて眼底出血を起こしてしまうのです。糖尿病網膜症は、日本で年に3000人以上の方が失明していると言われており、注意が必要な合併症です。

症状は3つの段階に分かれます。

単純網膜症

網膜細小血管の血流が悪くなり、血液中の成分が血管から漏れやすくなっている状態です。検査を行うと点状・斑状出血、毛細血管の一部がこぶのように腫れる毛細血管瘤、血漿成分が染み出して白くなる硬性白斑などの症状が認められますが、自覚症状はほとんどありません。

増殖前糖尿病網膜症

高血糖により血管のつまりが進み、網膜に血液が流れなくなり酸素不足になる状態です。
細小血管の閉塞が広範囲に及んできた状態です。軟性白斑、静脈異常、網膜浮腫などが起きてきます。

増殖糖尿病網膜症

網膜の虚血状態が続き、酸素や栄養を送るために網膜表面や硝子体に新生血管が伸びていきます。新生血管は脆く破れやすいので、網膜出血や硝子体出血を起こす危険性が高まります。さらに、網膜上に薄い膜状の増殖膜が形成され、この組織が収縮することで網膜を引っ張り、牽引性網膜剥離が発生します。
視野の中に黒いものが飛んでいたり、黒いカーテンがかかったように見えるなどの症状が出ます。

糖尿病網膜症の治療

糖尿病の合併症ですから、血糖のコントロールにより血液や血管の状態を改善することが重要です。

また、当院ではレーザー光凝固術と、近頃厚労省の認可をいただいた硝子体内注射(抗VEGF療法)を施行しています。硝子体手術の治療が必要な場合、連携関係のある大学病院などへの紹介も行っています。

網膜静脈閉塞症

網膜にある静脈の血管が詰まって血液が流れにくくなる病気で、眼底出血を起こす原因となります。50代から発症しやすい傾向にあります。

高血圧や糖尿病になると、血管が脆くなります。網膜の静脈が詰まると脆くなった静脈から血液が流れ出し、網膜の表面に広がって眼底出血起こしたり、網膜を腫れさせます。様々な部位で起こる閉塞のうち、静脈の根元が閉塞するのは網膜中心静脈閉塞症、その一方でもっと多発している網膜分枝静脈閉塞症もあります。

網膜静脈閉塞症の治療

状態に合わせて、止血剤、循環改善剤の内服、黄斑浮腫の解除のためにレーザー光凝固術、抗VEGF薬硝子体内注射療法等の治療方針で展開しています。血栓溶解薬の使用や黄斑浮腫の解除のための硝子体手術等が必要な場合は、大学病院などの専門機構にご紹介いたします。

硝子体注射

硝子体注射は上記で紹介した加齢黄黄斑変性や糖尿病網膜症、網膜静脈閉塞症に対して有効な治療法です。抗VEGF薬を硝子体内に注入し、病気の原因となる新生血管の増殖や成長を抑制します。6週、もしくは4週に2~3回注射し、その後は定期的に診察をして、新生血管の改善が見られない場合は再度注射を行います。

レーザー光凝固術

当院では、外来通院でレーザー凝固術治療を行っています。これは、レーザーの光を網膜などに照射し、凝固させることで病気の進行を防ぐ方法です。点眼麻酔をして、1回15~30分程度の所要時間です。病気の進行により、レーザー治療の回数は変わってきます。レーザー光凝固術を受けたその日は、過激な運動やアルコールは控えます。

※医療保険に入っている患者様は保険適応できる場合がありますので、スタッフにご相談くださいませ。

対応疾患

治療費用の目安

眼底疾患の場合のレーザー光凝固術

片眼につき3~4回の治療が必要となる場合があります。
一連の治療で初回のみ片眼につき

3割負担 47,880円
1割負担  15,960円

※ただし、半年以上後になってから症状が進行したり、急変があってレーザー光凝固術の追加治療が必要な場合には、新たに治療費がかかります。

なお、1か月に支払った窓口負担額の合計が自己負担限度額を超えた場合、「高額治療費」として健康保険から後日支給されます。

緑内障の場合のレーザー光凝固術(片眼につき)
虹彩凝固
3割負担 19,860円
1割負担 6,620円
隅角光凝固
3割負担 26,910円
1割負担 8,970円
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